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結婚へのチャンス
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男女交際
よい結婚のために
子どもたちが結婚適齢期になると、「いい結婚の相手がいないか」と、両親はいっしょうけんめいさがし始めます。両親が子どもの結婚相手をさがすことは、欧米ではないのでたいへん珍しがられます。また、欧米の若い人たちの中にも、内気でなかなか配偶者を見出せない青年男女がいるので、そんな人たちは、日本の制度を多少うらやましがることもあるそうです。親が子の結婚の心配をするのは、人情としては当然で、また美しいことだとも考えられます。しかしこのために、従来のように子どの責任は親が負い、子どもは親に依存または従属する結果が生まれるのはおもしろくありません。最近の若い人たちが、配偶者は自分でさがすといい、親が承知しなければ、どこまでも説得する、それでもだめならば、親に反対しても、自分の選んだ人と結婚すると、アンケートなどに回答しているのは、民主主義下で当然なことではありますが、またたのもしくもあります。ところで欧米で、結婚相手をさがしてくれる人などいないと、というのには理由があります。そんな、人の手を借りなくともすむほど、男女の交際がごく自然に、そして盛んに行なわれているということです。驚くほどたくさんのグループやクラブがあり、人々はそのどこかに参加しています。たとえば教会のグループだとか、趣味のグループだとか。もし、なかなか結婚相手の見つからぬ人がいれば、日本の仲人のようなことはしませんが、自分のグループに誘うとか、ちょうどよい青年のいそうなグループを紹介するとか、そんな形で結婚への準備がされるのだということです。それに、小さいときから男女共学であり、おじいさん夫婦も、両親も、自分で選んだ結婚をしている家庭に育てられた子どもたちの周囲には、何一っ男女交際を妨げるものがありません。しかも、家庭では、幼いころから、男女交際のしつけがきびしくされています。節度ある交際が若い男女の間で、積極的にできるのは当然です。一年半ばかりドイツの栄養研究所へ留学した岡田陽子さんが、「私がたずねた家庭では、おじいさん、おばあさんも、昔はボーイフレンド、ガールフレンドだったというし、〃家の孫はいくつだと思います。もうガールフレンドがいるのですよ!\"とうれしそうに話してくれるので、うらやましい気がしました」と話していました。万事質素なドイッでも、男女が連れ立って行く観劇のためには、なかなかお金をかけた洋服を用意するそうです。日本では、まだまだそこまではいっていません。東大助教授の山下肇氏が、ご子息の男女交際の経験について話してくれたのを聞くと中学生の彼は、同級生の少女に特別な関心をもつようになり、手紙のやりとりを始めました。手紙は無邪気に両親に公開され、まことに健全な交際だったのです。ところが、ある日、スポーツの試合に彼女を誘おうと電話をかけると、彼女のおばあさんが出て、\"もうお手紙や電話はおやめください\"ときびしく言うのでした。彼のショックは大きく、特に心をいためたのは、彼女に悪いことをしてしまったという自責の念でした。考えたすえ、父山下氏に、おわびの手紙を書いてくれるように頼みました。父と二人の名で出した手紙に、先方のおばあさんからも返事がありました。なかなか教養のあるらしいおばあさんでしたが、結局、交際はこれきりにしてほしいと書かれてあるのでした。おばあさんも大事な孫娘のうえを心配してのことだったのでしょう。これが日本の多くの家庭の現実だと思います。品川孝子さん(児童心理学者)のお嬢さんの場合は、「男の子に誘われたけれど、男の子と遊びにいったりしたら、変に思われるでしょう」と聞いたそうです。「家では一度もおかしいなどといったことはないのに、外で聞いてくるのでしょうね」と品川さんは言っていました。これは少年少女の場合ですが、よい男女交際は、この時代から始まります。戦後、交際についての理解は、家庭でも職場でもずっと高まっていることは事実ですが、まだこだわりのもたれる場合も、皆無とはいえません。また、若い男女が正しい交際のしかたをそれほどよく知っていないということも事実でしょう。今度、主婦の友社が行なった青年へのアンケートを見ると、職場では周囲のうわさがうるさくて、交際がしにくいという回答が案外にあったのです。交際は禁じられていないのですが、同僚たちのせんさくの目、好奇の目がまといつき、ごく自然の友情にも、「あいつたち、何かあるのではないか。あやしいぞ」というようなささやきがかわされて、せっかくの交際もつづけることができないということなのです。特別視する周囲の目、他人に関心をもたずにはいられないほど、自分は男女交際からとり残されている暗い目こんなうるさいふんいきが残っている問は、まだまだ\"おくれた日本\"といわれてもしかたがないでしょう。山下助教授は、男女交際のエチケットの中で最も大事なのは、この周囲の目のあり方だといっています。俗悪な既成の観念を男女交際の中に持ち込まないこと、これが礼儀の根本だというのです。「よろめきだとか、ほれたとか、口さがないヤジ馬的俗悪さがいけない。一人一人が自主的にやっていけばよいので、それが民主主義の根本ではないか」と、これは周囲と当事者への忠告です。「結婚について」のところでも申しましたが、欧米では、家庭づくりということを、非常に重要視します。\"よい家庭をつくること\"これが幼いころからの、みんなの希望なので、積極的に家庭づくりの準備をします。男女交際の場で、日本より恵まれているとはいえ、ノ進んでよい男女交際の機会をもとうと心がけます。だれかに誘われるのを待つようなはっきりしない態度は見られません。アメリカの娘を友人にもつ日本娘が、好意を寄せている男性の誘いをなんとなく待っているのを見て、「私なら、男性が誘ってくれるようにしむけるわ。たとえば〃おかあさんがあなたに興味をもっていて、遊びにくるようにと言っている\"とか、\"あそこでパーティーがあるのよ、行きません?\"というふうに。これは決して不作法なことではないのよ」とアメリカ娘が言ったそうです。私たちの周囲には、交際の場も事実とぼしいのですが、またその少ない場を活用しようとする積極性にも欠けていると思います。それは、日本人が、家庭は二人の力を注ぎ込んで建設するものと考えることが少なく、むしろ逃避の場として家庭をもつことー家庭をつくって安住したいーと考えたり、家庭は二の次ときめてきた、伝統による考え方が、自分で配偶者を選ぼうとする積極的な意欲を妨げたのではないでしょうか。また、なんとなく男女の交友があまり芳しくないような潜在意識を、若い人さえまだもっているからかも知れません。
家庭の指導を
男女交際を、二十才前後の若い人たちは、どう考えているでしょうか。大塚二郎氏(渋谷区立鉢山中学校長)をたずねて、日常接していられる中学生、高校生の生活と意見、また、かつて調査された高校生のアンケートなどを資料にして、お話を聞いてみました。アンケートによると、異性の友人がある人 二五・三%異性友人がない人 七四・七%となっています。\"異性の友人がなぜもてないか\"の質問に対しては、ィまだ時期が早すぎると思う。ロ異性に向かうと、なんとなく恥ずかしい。ハ異性によそよそしくするのが正しいと考えている。ニ男または女の面目にかかわる。ホ異性に向かうと反発したくなる。ヘ異性の友だちをもたぬほうが気楽でよい。ト自分をあまり知られたくない(劣等感を覚える)チ チャンスがない。リ チャンスはあるが、つかめない。などの回答があげられています。大塚氏は、「性の目ざめは、お互いに異性を求める心となって現われてくるものなので、この感情が行動となって現われるのは普通なのですから、若い皆さんが、互いに異性を求め合う(男女交際を求める)のは、人間の正常な成長を意味しているのだと思います。ですから、若いあなたがたが、〃異性の友だちをもちたくない,というのは、自然な成長に故障があるのか、または何かの原因で、それが一時はばまれているためではないかと反省されるのです。何か環境的にその心をすなおに表現させないものが、あなたたちの心の奥底に隠されていて、あなたたちの気づくことのできない世界で、あなたたちの心をさえぎっているのだということを思わせます」と言っています。〃家庭や周囲のために、異性の友だちができないとすれば、その原因はどれですか\"に対しては、イ父親がきびしいから。ロ母親が心配するから。ハ兄も姉も異性の友だちをもたないから。ニ家庭が封建的で解放されていないから。ホ周囲の目がうるさいから。ヘ同性の仲間もまだもっていないから。となっています。\"教師や両親に何を希望しますか\"では、イ自由にさせてほしい。ロ指導してほしい。ハもっと積極的に場を見つけてほしい。ニもっと正しく忠告してほしい。また、「自由にしてほしい」と「指導してほしい」の二つの希望は、ほとんど同率(約三〇%)です。これは、一方では青年期の不安と反抗の現われとも見られ、また一方では時代の過渡期にあって、自由への解放の自信のなさの現われとも見られます。\"もっと正しく忠告してほしい\"が一六%をしめていることは、大人の指導の不足と、また大人が考えているほどは、無軌道な男女交際を、青年たちが好んでいないことを示すものだ、と大塚氏は見ています。ここで、家庭の積極的な理解がどんなに必要かがおわかりになると思います。
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